【THE MATCH 2022 – 勝敗予想】鈴木真彦vs金子晃大|国内軽量級チャンピオン対決

2022年5月30日

2022年6月19日(日)に行われる『THE MATCH 2022』の対戦カード、鈴木真彦 vs 金子晃大について管理人の個人的な見所の解説と勝敗予想をしていきたいと思います。鈴木のアグレッシブさか、金子の殺傷能力か––キックボクシング国内軽量級の最強を決めるチャンピオン対決です。

対戦ルールと両選手のプロフィール

この対戦は、契約体重55kg以下・3分3R・延長1R・ワンキャッチ゠ワンアタック可能のルールで行われます。

まずは、両選手のプロフィールについて簡単に触れておきましょう。

問答無用の爆撃ボーイ「鈴木真彦」

鈴木真彦は、1997年2月17日生まれの25歳で、大阪府堺市にあるキックボクシングジム「山口道場」に所属するキックボクサーです。RISE・バンタム級 第7代チャンピオンの現役王者で、ニックネームは「問答無用の爆撃ボーイ」。戦績は37戦32勝5敗で、32勝のうち19のKO勝ちを誇ります。直近の試合は2022年4月2日の江幡睦戦で、3ラウンド判定で鈴木が勝利しました。

キックボクサーとしての特徴は、とにかくアグレッシブなファイトスタイルが挙げられます。パンチを主体にローキックも蹴りつつ、とにかく攻撃を繰り出すファイターで「攻撃は最大防御」と言わんばかりのアグレッシブさがあり、空から一方的に攻撃する爆撃機のように相手を攻め立て続けます。また、アグレッシブなだけではなく冷静なところもあるのが鈴木の特徴です。どのような局面でもローキックなどで攻撃を散らすことを忘れないクレバーさを持ち合わせています。

ただし一方で、攻めに特化している分、カウンターを被弾することが多いのも事実です。志朗戦ではそれでダウンを取られてしまい、敗北へと繋がりました。

格下と思われるファイターが相手でも、打ち合いに応じた結果パンチを被弾し、ダウンを取られてしまうこともあります。被弾覚悟で打ち合う姿に魅了されるファンは多く、「鈴木は、勝っても負けても、面白い試合を魅せてくれる」と解説に評価されることも多いです。見た目は少々やんちゃな感じですが、あまり野蛮なことをいうタイプではなく、自分のファイトスタイルに誇りを持っている真っ直ぐな性格で、トラッシュトークもほぼ行いません。試合内容だけでファンを魅了してくれるファイターです。

ゴールデン・ボーイ「金子晃大」

次に、金子晃大を紹介します。金子晃大は1997年1月29日生まれの25歳で、K-1ジム三軒茶屋 シルバーウルフに所属するキックボクサーです。第3代K-1 WORLD GP スーパー・バンタム級王者で、鈴木と同じく現役チャンピオンです。K-1でのニックネームは「ゴールデン・ボーイ」。戦績は15戦14勝1敗で、14勝のうち8つのKO勝ちがあります。直近の試合は、2022年2月27日に行われた、K-1 WORLD GP 2022JAPANA 第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメントで、決勝戦を玖村将司と戦い、1度のダウンを奪って3ラウンド判定勝利を飾り、チャンピオンの座に輝きました

ファイターとしての特徴は、55kg以下には見えないほどの筋肉を搭載した抜群のフィジカルと、そこから繰り出される攻撃にあります。フィジカルを活かしながら前に出て、攻撃の中にフェイントや捨ての攻撃を織り交ぜながら、要所で一発のある重い攻撃を繰り出して相手をKOするというのが金子の勝ちパターンです。テクニックやスピードで翻弄するというよりかは、フィジカル的タフネスと気合いで相手の攻撃を耐え凌ぎ、攻勢に転じたときはパワーで相手を吹っ飛ばすといった、パワフルなファイトスタイルが持ち味のファイターといえます。

知的な一面をあまり見せない彼ですが、試合の組み立てが上手いことも強みのひとつで、事前に立てた計画を頭に入れながら戦うことができ、さらに試合の中で展開によってプランを組み直すといった臨機応変さも兼ね備えています。マイペースな性格が試合の中でも表れており、相手がどうか?というよりは、自分がどうすべきか?を常に頭の中に入れて戦っているようです。

ただ、そのマイペースさゆえに、自分がやりたいことが通用しないとき、例えば、唯一の敗戦である1回目の玖村将司戦のときのように、引き出しの多さやテクニックなどで翻弄されてしまうと、自身の型から抜け出すことができず、そのまま負けてしまうことがあります。

とはいえ、爆発力のあるファイターで、1発で試合をひっくりかえすことができるので、相当な実力差がない限り、まだ今ほどの完成度ではなかった1回目の玖村将司戦のような展開は訪れないでしょう。国内のスーパー・バンタム級においては、まず間違いなくTOP10にランクインするファイターです。

鈴木真彦 vs 金子晃大の見所解説

では続いて、管理人が思うこのカードの見所について、話していきたいと思います。個人的には、2つの見所があるのではないかと考えています。

鈴木真彦は金子晃大のパワーにどう対抗するのか

まず1つ目は、「鈴木が金子のパワーにどう対抗するか?」という点です。両者の体格を比較してみると、鈴木が身長168cmに対して金子は身長171cm。金子のほうが3cmほど高いです。鈴木は、ナチュラルウェイトが55kgに近いのか、試合だと線が細く上背があるように見えるので、見た目の印象よりも意外と小柄であるように思えます。対する金子は、55kgには見えない体つきで、この階級において171cmはやや大きめのフレームですが、上背の高さよりもその筋肉に目がいきます。身長の高さ・備えている筋肉、この2つの要素から見て、パワーやフィジカルに関して言えば金子に軍配が上がるでしょう。

鈴木が、この金子のパワーに対して、どのように対抗していくのか。鈴木は攻撃に特化したファイターではありますが、金子のようにフィジカル的なパワーや破壊力抜群の一撃を持ち味としているわけではありません。間断なく攻め続けることで相手に試合のペースを掴ませず、打撃の応酬で打ち勝つことを得意なパターンとしています。その鈴木が金子に圧力をかけられたとき、どのように感じ、どのような対抗策を講じる予定なのか。いつものようにとにかく前にでて、金子の圧力に正面からぶつかるのか、それとも、攻撃を散らしながら金子の圧力をいなし、角度を変えた打撃で翻弄するのか。鈴木の性格的に真っ向勝負を望むだろうと思いますが、大舞台なので、いつもとリズムを変えてくる可能性もありそうです。

ただ意外と鈴木は、金子のようにパワーを武器とするファイターを得意に感じるような気もします。志朗や、那須川天心のようなトータルファイターが相手だと、一瞬の隙を突かれたり弱みの部分を徹底的に攻められたりして、持ち味を発揮できずに負けてしまいますが、金子のように動きが少なく、圧力やパワーで勝負してくるファイターのほうが、フィジカルの差はあったとしても正面から殴り合えるので、強みを発揮できるのではないでしょうか。

金子が鈴木の爆発力をどう感じるのか

2つ目の見所は、金子あきひろが鈴木真彦の爆発力を、どのように感じるのか?という点です。鈴木は、打撃の爆発力と豊富な運動量を活かすことで自分のペースを作り、打ち合いに引き込んで、その中で相手を倒す激闘型ファイターです。金子も同じく激闘型ですが、打ち合うというよりかは、要所をしめた殺傷能力の高い打撃・右ストレートや跳び膝蹴りなどを使って相手を仕留めます。その一撃を繰り出すまでは、割と相手の打撃をもらうことが多く、玖村との2回目の対戦では、ダウンを奪って判定勝利を収めたものの、玖村の打撃を顔にもらいつづけ、試合終了後の両者の顔のダメージを見比べてみると、勝者であるはずの金子のほうがボロボロでした。試合後に本人は試合中のダメージや効いていたかどうかについて、「気合いで耐えた」と言っていましたが、爆発力のある鈴木を相手に玖村戦と同じく打撃をもらい続けたとしたら、いかにタフで根性のある金子といえど、「やばいな」と感じるかもしれません。頑丈で気持ちも強いので、意識を刈られるような打撃を受けない限り、倒されることはなさそうですが、仮に爆発力に押されてしまった場合、判定に響くことは間違いないでしょう。

逆に、鈴木の打撃を受けてみて、「これは問題ないな」と金子が感じるのであれば、圧力とフィジカルで鈴木の爆発力を押し返すことができます。多少の被弾はあると思いますが、自分のペースを乱さずに試合をつくることができ、打撃のタイミングが噛み合えば、ダウンを奪ったりKOしたりする可能性も高いです。

鈴木真彦 vs 金子晃大の勝敗予想

それでは個人的な勝敗予想について、お話ししていきます。結論としては、金子晃大が3ラウンドにダウンを奪って、判定勝利するのではないかと思います。

序盤は、鈴木のハイペースな試合運びに若干翻弄されるも、持ち前のマイペースでペースを崩さずに試合を展開します。鈴木もスロースターターな部分があるので、1ラウンドは、お互いに距離の調整や、打撃の感触を確かめるために使うのではないかと思います。打ち合いが見られるのは、2ラウンド以降。エンジンが温まってきたところで、互いに前に出るようになり、鈴木は打撃を繰り出し続けて隙を伺い、金子はブロッキングやスウェイでパンチをいなしたりかわしたりしながら、圧力を強めていきます。おそらく後半あたりから鈴木の打撃が金子の顔を捉える機会が増え、「鈴木が優勢か?」という時間帯がくるのではないかとないかと思います。金子も圧力をかけて打撃を繰り出しますが、鈴木はガードや間断のないオフェンスでクリーンヒットを許さず、ガードの上からでも金子の打撃は効くので、少なからずダメージは受けると思われますが、それでも攻め手を緩めることはないでしょう。

3ラウンド、削り合いの末にタフな打ち合いとなり、そこで金子の打撃が鈴木を捉えてダウンを奪います。鈴木はしなやかな肉体の持ち主であり、ダウンを奪われても立てないほどのダメージは受けないのでKOにはならないかと思いますが、確実にダメージは残っている状態です。ふらふらになりながらも最後まで前に出続け、金子も応じるように攻め続けますが、互いの攻め手が交錯しそのまま判定へ。3ラウンドにダウンを奪ったということで、判定3対0で金子の勝利と予想します。

まとめ

この対戦はチャンピオン同士の対決なので、両ファイターはそれぞれの団体を背負って戦うことになります。金子晃大が勝てば、K-1の軽量級が強かったということになり、鈴木真彦が勝てば、RISEの軽量級のほうがハイレベルであったということになるでしょう。

試合は個人戦ですが、THE MATCH 2022はK-1対RISEの構図です。それだけに、両ファイターとも団体の威信をかけて戦う意識は強く持っているでしょう。今後の国内軽量級を盛り上げる団体は、K-1とRISEのどちらになるのか。それを決定づける対戦としても、非常に楽しみなカードです。