【K-1】野杁正明と安保瑠輝也がついに対戦?第2代ウェルター級Tの行末

【K-1】野杁正明と安保瑠輝也がついに対戦?第2代ウェルター級Tの行末

格闘技

先日、2021年9月20日(月・祝)に横浜アリーナで開催される、「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~よこはまつり~」の第一カード発表記者会見が行われました。

今大会では、第2代ウェルター級王座決定トーナメントが開かれます。記者会見では、トーナメントに出場する8選手の紹介とトーナメントカードが発表されました。出場選手は、以下の8名です。

  • 小嶋 瑠久(こじま るーく)
  • 寧仁太・アリ(アニンタ・アリ)
  • 野杁 正明(のいり まさあき)
  • 加藤 虎於奈(かとう こおな)
  • 安保 瑠輝也(あんぽ るきや)
  • アラン・ソアレス
  • 松岡 力(まつおか りき)
  • マキ・ドゥワンソンポン

今回の記事では、このトーナメントの個人的な見所や勝敗予想を書いていきたいと思います。

※記事の読みやすさを確保するために、敬称略で記載しております。ご了承いただけますと幸いです。

【注目選手】野圦正明と安保瑠輝也

今トーナメントで特に注目されている選手といえば、野圦正明と安保瑠輝也の2人でしょう。

簡単に2人のプロフィールを解説します。

野圦は、下の階級から上げてきた選手です。2017年にゲーオ・ウィラサクレックとの激戦を制して、スーパーライト級の王座を獲得後、2018年にウェルター級へ転向しこれまでのウェルター級戦績は6勝1敗。

転向後の2戦目でジョーダン・ピケオーに敗れはしたものの、現在5連勝中と盤石の強さを見せています。

ガードスキルの高さと瞬間に見せる殺傷能力の鋭さが特徴的なファイターで、間違いなく今トーナメントの優勝候補でしょう。

ネット上の「K-1 P4P」では(選手全員が同じ階級だとして、誰が1番強いのか?という議論)、あの武尊を抑えて1位にランク付けされたこともあるほど、ファンからの評価が高い選手です。

安保瑠輝也も、野圦と同様に下の階級から上げてきた選手です。これまた同じように、スーパーライト級でゲーオ・ウィラサクレックを倒して王座を獲得しています。

それから2度の防衛に成功しますが、3度目にゴールデンフィストの異名を持つ山崎秀晃に1RKOで敗れ、防衛失敗。その後、180cmの長身で減量が難しいことから、ウェルター級に転向しました。

2021年7月に開催されたK-1福岡大会では、ウェルター級の初戦として幸輝と対戦。持ち前の破壊力を発揮し、1RKOで勝利を収めています。「デモリッションマン」の異名を持つ、 攻撃に特化した派手なファイトスタイルのファイターです。

「ファンを楽しませること」に強いこだわりを持っており、試合前の記者会見では対戦を盛り上げるためにトラッシュトークを欠かさず、実際の試合でも打ち合い上等のファイトスタイルで戦いを盛り上げます。

また、YouTuberとしても精力的に活動を行っており、チャンネル登録者数は30万人以上。YouTube上では、「街の喧嘩自慢とスパーリング」や「ぼったくりバーに潜入してみた」などのコンテンツを配信しています。

野圦と安保は、他の出場選手6名と比べても抜群に知名度が高いです。

特に、安保瑠輝也はYouTuberとしても成功しているため、K-1ファン以外のファン層も巻き込んでいます。野圦も、新生K-1の黎明期から活躍してきた選手であり、他団体のファイターからの評価も高いので(RISE-63kgチャンピオンの原口健飛も野圦正明を高く評価しています)、安保ほどではないと思いますが、広く名の知られたファイターです。

野圦正明と安保瑠輝也の対戦は実現するのか

そんな注目度の高い両選手ですが、トーナメント上は互いに反対の山にいるため、当たるとすれば決勝となります。野圦正明と安保瑠輝也の対戦実現は、 K-1ファンの中で近年ずっと望まれてきたものです。実現するとなれば、大きな注目を集めることになるでしょう。

しかし、今トーナメントの顔ぶれを見る限り、チャンピオン経験のある野圦と安保でも、勝ち上がるのは一筋縄ではいかなさそうです。それぞれの1回戦の相手を見てみましょう。

1回戦|野圦正明 vs 加藤虎於奈

野圦が1回戦に戦う相手は、加藤虎於奈です。加藤虎於奈は、武尊と激戦を繰り広げたレオナぺタスの弟であり、2021年1月にはK-1グループが主催・運営する「Krush」で第8代ウェルター級王座を獲得しています。

その後、松岡力に敗れ王座の防衛に失敗していますが、それでもチャンピオン経験のある強豪選手です。番狂わせを起こす可能性は十分にあるでしょう

1回戦|安保瑠輝也 vs アラン・ソアレス

安保が1回戦に戦う相手は、アラン・ソアレスというブラジルの選手です。ソアレスは今回がK-1グループ初参戦であり、これまでの戦績は16戦13勝3敗。FIGHT DRAGON-67kgとGOLD RUSH-67kgで王者を獲得しています。

身長は172cmと安保よりも8cmほど低いですが、身体は筋骨隆々として大きく、-70kgでも勝利経験のあるパワフルなファイターです。フック系のパンチが得意でぶん回してくるようなので、まともに喰らえばいくら安保でもKOされる可能性は高いでしょう。

トーナメント準決勝に上がってくるのは誰か?

前段で述べたように、チャンピオン経験のある野圦と安保でも今トーナメントを勝ち上がるのはそう簡単なことではなさそうです。しかし、それでも彼らが勝ち上がる可能性は高いでしょう。対戦相手の両名も優れたファイターですが、2人と比較して実力の面では大きな差があるように思います。

となれば、気になるのはもう一方の山から勝ち上がってくる準決勝の対戦相手です。準決勝に上がってくる選手を予想してみます。

1回戦|小嶋瑠久 vs 寧仁太・アリ

野圦側のトーナメント、もう一方の1回戦では小嶋瑠久と寧仁太・アリが対戦します。

小嶋は、プロデビュー当初はウェルター級で戦っていたファイターで、デビュー直後は5連勝を果たすなど破竹の勢いでした。2019年からはスーパーライト級に転向しており、前戦もスーパーライト級で試合を行っていましたが、今回、ウェルター級に再転向が決定。直近3戦は1勝2敗と不調ですが、加藤虎於奈にも勝利経験のある実力者です。

アリは2019年8月にプロデビューした若手ファイターで、現時点での戦績は5戦5勝と順調に勝利を積み上げています。直近2試合は、アウトサイダー出身の実力派・海斗と、第7代Krushウェルター級王者である山際和希に勝利しており、強さに安定感が出てきました。

実績や勢いから考えると、アリのほうがやや有利な印象があります。小嶋は階級を上げてから初めての試合なので、ウェルター級のパワーに押されてしまう可能性も高いでしょう。

また、身長差も影響がありそうです。小嶋は172cmとウェルター級の中ではやや小柄であるのに対し、アリは184cmと大きなフレームを有します。これだけの体格差があると、リーチやパワーの差がそのまま結果に反映されてしまう可能性も高いです。小嶋はテクニックやスピードで対抗するか、懐に入って混戦に持ち込むといった作戦で体格差をカバーする必要がありそうです。

互いに素晴らしいファイターですが、ここではアリの勝利予想としたいと思います。

1回戦|松岡 力 vs マキ・ドゥワンソンポン

安保側のトーナメント、もう一方の1回戦は松岡力とマキ・ドゥワンソンポンの対戦です。

松岡力は、2021年4月のKrushで加藤虎於奈を破ってKrush第9代ウェルター級の王座を獲得しており、今トーナメントにはKrushウェルター級王者として参戦します。戦績は19戦10勝7敗2分とやや負けの数が目立ちますが、大事な試合で勝てる勝負強さを持っており、今トーナメントにおいても台風の目となる可能性は十分にあるでしょう。ファイトスタイルは空手をベースにしたバランスのよいオールラウンダーで、技術レベルの高さが目立ちます。

対戦相手のマキ・ドゥワンソンポンは、ムエタイで100戦以上の戦歴を誇るタイ人ファイターです。直近では2021年3月のK’FESTA4で近藤魁成と対戦し、激闘の末に惜しくも敗北しています。ファイトスタイルはムエタイをベースとしながらも、ローキックとフック系のパンチが得意で打ち合い上等の激闘型です。一方で、自分のペースを崩さない老獪さも持ち合わせています。

この2人の試合予想はなかなか難しいです。ドゥワンソンポンはK-1に参戦してからまだ1回しか戦っていないので、本来の実力をまだ見せていないように思います。ムエタイファイターはK-1ルールに順応するまで時間を要することもあるため、今トーナメントでは前回以上の強さを見せてくれる可能性も高いでしょう。

とはいえ、松岡も現役のKrushウェルター級王者です。テクニックでドゥワンソンポンを翻弄し、判定で勝つことも十分に考えられます。また、松岡はKrushで2度のタイトルマッチを経験しており、“ビッグマッチ”慣れしていることも有利に働くでしょう。ここでは、松岡力の判定勝利と予想します。

準決勝のカード予想

これまでの予想をまとめると、トーナメント準決勝の組み合わせは以下になります。

  • 準決勝①野圦正明 vs 寧仁太・アリ
  • 準決勝②安保瑠輝也 vs 松岡力

それぞれの展開を予想してみましょう。

準決勝①野圦正明 vs 寧仁太・アリ

真っ向から戦えば、野圦が勝つ確率のほうが高いでしょう。アリは類まれな身体能力の高さと、優れた体格を武器に勝利を積み重ねてきた、センス寄りのファイターです。

しかし野圦はこれまで、ハッサン・トイやジョーダン・ピケオーなど優れたフィジカルを持つ外国人選手と何度も戦ってきました。ピケオー戦は階級転向から間もなかったこともあり惜敗となりましたが、その後はフィジカルも強化され、体格的に負けているファイターとの試合でもフィジカルの不利を感じさせないほど強い身体に成長しています。

百戦錬磨かつフィジカルが強化された野圦が相手では、アリの強みであるフィジカルが通用しない確率は高いでしょう。至近距離からのテンカオやボディフックで野圦がKO勝利する可能性も高いです。

しかし、かといってアリに勝機がないというわけではありません。野圦は、アリのように身体のバネを活かした野性的なファイトスタイルの選手を苦手としている可能性があります。

ずいぶん前ですが、野圦はマサロ・グランダーという選手に1TKO負けを喫したことがあり、そのときはグランダーのバネを活かした飛び膝蹴りによるカットが決定打となりました。

また、野圦が唯一ウェルター級で敗北している相手・ジョーダン・ピケオーも、グランダーと同じように野性的なファイトスタイルで、アリはこの両ファイターに通ずるものがあります。

テクニック勝負では野圦の圧勝だと思いますが、絶えず動いて攻め続け、身体を柔らかく使って野圦を翻弄しまくれば、アリにも勝機が見えてくるのではないでしょうか。

準決勝②安保瑠輝也 vs 松岡力

相性でいえば、安保のほうが有利でしょう。松岡はテクニカルな選手なので、安保のように攻撃力に優れたファイターを相手にした場合、さばき切れず一気に飲み込まれてしまう可能性があります。また、先日の「安保vs幸輝」の試合を見て感じたのですが、安保のボクシングテクニックがかなり向上しているように思います。

松岡はバランスの取れたオールラウンダーであり、ボクシングのテクニックも高い水準にありますが、攻撃に特化している安保とパンチの勝負になれば、流石に不利です。そして、安保は自分の土俵に持ち込むのが上手なので、松岡が不利な状況に追い込まれてしまう確率は高いように思います。

もし松岡に勝機があるとすれば、「普通に戦って勝つこと」でしょう。普通に戦うとは、安保のペースに飲まれず自分の得意な間合いを維持し続け、持ち味のテクニックを活かしたクレバーな試合運びで判定勝利することです。松岡のポテンシャルであれば、十分に可能な気がします。

ウェルター級に慣れていることも、この展開を実行する上で有利に運ぶでしょう。

野圦の防御力か、安保の攻撃力か

アリも松岡も優れたファイターですが、それでもやはり決勝は野圦と安保の対戦になるような気がしています。では、仮に2人が決勝を戦うとして、どのような展開になるのかを予想してみましょう。

野圦はこれまでのスタイル通り、ガードを固めてゆっくりと距離を詰めながら、ボディフックやテンカオの膝、ハイキックで攻めていくのではないかと思います。対する安保は、豊富な攻め手を活かして野圦のガードを崩しにかかるでしょう。

ここでポイントになるのは、野圦の防御を安保が貫けるのかどうかです。野圦はガード技術のレベルが非常に高く、野圦の防御を攻略できた選手はジョーダン・ピケオーのみといっていいほど、防御技術に優れています。

いくら攻撃力に優れている安保といえども、野圦の防御を崩すことは一筋縄ではいかないはずです。大きなフレームを活かしたダイナミックな攻撃も、最近磨きのかかっているキレ抜群のパンチも、通用しない恐れは十分にあるでしょう。そうなれば、野圦のテクニックと瞬間の殺傷能力が光る展開となり、逆にKOされることもあり得ます。

ただ、ファイトスタイルの相性としては、安保は野圦との戦いをやりやすいと感じる場面もある気がしています。野圦は、相手の攻撃を避けたりフットワークを使って距離を外したりといったディフェンスをしません。あくまでガード主体のディフェンスであり、基本的に相手の攻撃は受けて防御します。

安保からすれば、いったんは攻撃を受けてもらえるため、攻撃のペースを作りやすいと感じることもあるでしょう。安保の攻撃力なら、一気呵成に畳みかけて野圦のガードをこじ開けることもできそうです。タフな野圦といえども、安保の攻撃を受ければ効いてしまう場面が出てくる可能性も十分にあります。

優勝者の予想は難しい

野圦正明と安保瑠輝也、どちらが勝利するのか、展開を予想をしてきましたが、勝敗の行方を推測するのは非常に難しいです。

ウェルター級における経験や実績でいえば間違いなく野圦ですが、安保の勢いや攻撃力は相当なものがあります。甲乙つけがたいので、勝敗予想はここまでとし、ここからは双方の勝った後のストーリーについて書いていきたいと思います。

野杁正明はここで優勝できれば納得のいく形でピケオーにリベンジできる

野圦が優勝した場合、納得のいく形でジョーダン・ピケオーにリベンジができるでしょう。ピケオーが今トーナメントに参戦していた場合、間違いなく優勝候補ですがコロナウイルスの影響か参戦となりませんでした。僅差で敗北を喫している野圦は、リベンジをしたいと考えているはずです。

今トーナメントで優勝し、王座を戴冠した後、初防衛戦としてピケオーを迎え撃つのがストーリー的にもきれいだと思います。ピケオーがまだK-1に残ってくれていればの話ですが……。

安保が優勝すれば、勢いそのままに木村ミノルへタイトルマッチも可能

安保は、ここで優勝ができれば、勢いそのままに木村ミノルがもつスーパーウェルター級の王座に挑戦することもできるでしょう。

安保と木村のカードは、安保が山崎に敗北する前の頃にファンの間で望まれていたものです。双方その気になっていましたが、安保が山崎に敗北したことで消滅してしまいました。その夢のカードも、安保がウェルター級のチャンピオンとなれば現実味を帯びてくるはずです。

木村ミノルはその前に和島大海の挑戦を受ける可能性が高いので、木村がそこで勝たなければ実現は難しいですが、安保と木村の両名が勝ち続ければ、対戦する可能性は高いでしょう。K-1ファイターの中でも人気と知名度が飛びぬけている2人なので、もし決定すれば、K-1ファン以外も巻き込んだビッグマッチとなりそうです。

K-1ウェルター級の王座は誰の手に渡るのか

ここまで個人的な視点からさまざまな推測をしてきましたが、結局のところ、誰が勝つのかはやってみなければわかりません。それが格闘技の醍醐味ですし、ファンはその不透明さにワクワク感を覚えて格闘技を観るのだと思います。2021年9月20日、K-1ウェルター級王座トーナメントを優勝し、王座を手にするのはどのファイターなのか。当日を楽しみに待ちましょう。

余談:なぜ近藤魁成は出場しないのか

近藤魁成といえば、2001年生まれのフレッシュなイケメンファイターです。戦績は6勝3敗と勝ち負けを繰り返していますが、負けた相手はピケオーや木村ミノルなど強豪選手ばかりで、実力に関しては今トーナメントに出場している選手と遜色ありません。

なのに、なぜ今トーナメントに出場していないのでしょうか? 予想ですが、おそらく拳の怪我が治っていないのでしょう。以前から拳の具合はよくなかったようで、3月のドゥワンソンポン戦で試合中にさらに痛めてしまったようで、途中から拳を使わずに戦っていました。

拳を使わずにドゥワンソンポンに勝利するのは流石の強さといえますが、勝利と引き換えに拳を犠牲にすることになってしまったようです。

今回は、戦う姿を見れないことは残念ですが、将来的には必ずタイトル戦線に絡んでくるファイターだと思うので、復帰を心待ちにしたいと思います。