レオンやニキータ、ルーシーなどの映画作品の監督を務めたことで知られるリュック・ベッソンが、最新作としてノンストップアクション映画『ANNA/アナ』を発表しました。日本での公開日は、2020年6月5日。コロナのせいで外出ができずにいましたが、先日やっと自粛要請が解除されたので、「リュック・ベッソンのアクション映画を観て、気分でも晴らそう!」と映画館まで足を運んできました。とっても面白かったので、つらつらと感想を書いていきます。
目次
映画『ANNA/アナ』のあらすじ
ホームレスだったところをろくでなしの男に拾われ、酷い扱いを受けていたアナ(サッシャ・ルス)。そこへ、ロシアの諜報機関「KGB」に務めるアレクセイ・チェンコフ(ルーク・エヴァンス)が突如訪れ、ヒロインをスカウトします。
「自由を得るチャンスを与える。選ぶのはお前自身だ」とアレクセイに選択を迫られ、堕落した環境から抜け出し真の自由を得るためにKGBの諜報員になることを決意。厳しい訓練と実践を経て、有能な諜報員へと成長していきます。
KGBの諜報員として暗殺やスパイを続けていくアナ。順調に思えていたある日、とある任務の途中でアメリカの諜報機関CIAに捕まってしまいます。
またしても選択を迫られ、今度はKGBとCIAの2重スパイとして活動していくことに。2つの諜報機関の間で、綱渡りをするような日々がスタートします。
アナは自由を勝ち取ることができるのか。運命はいかに……? あらすじはこんな感じです。
リュック・ベッソン節炸裂!サッシャ・ルスのアクション
リュック・ベッソン作品の特徴といえば爽快なアクションですが、「美しく強い女性」を主人公に据え置く作品が多いことも特徴のひとつです。レオンのナタリー・ポートマンやニキータのアンヌ・パリローなど、いずれの作品も美しい女性がヒロインを務め、キレキレのアクションを披露してきました。
『ANNA/アナ』でも、その系譜はしっかりと継がれています。
アナ役を務めたサッシャ・ルスはロシアのスーパーモデルであり、過去にはシャネルやディオールなどハイブランドのランウェイも経験したことがあるそうです。
顔が小さく手足が長いので、アクションシーンの映え方がすごかった。特に、レストランでの格闘シーンは圧巻の一言。銃と格闘技を駆使し、息もつかせぬ勢いでバッタバッタと敵を倒していくあのシーンは、今作の見どころのひとつだと思います。
サッシャ・ルスは、今作のために1年ほどかけて中国の格闘技「カンフー」をマスターしたのだとか。役作りのためにここまで力を入れるのはすごいですね。
アナ「それ以上は有料よ」
サッシャ・ルスの美貌は言うまでもなく素晴らしいもので、それに加えて強い女性としての「冷たい演技」も格別でした。
見出しのセリフは、アナが娼婦になりすまして、ターゲットである政府高官の部屋へ訪問し、門番からボディチェックを受けているときに言ったもの。下心丸出しで少し踏み込んだ領域までチェックしようとした門番を、一瞥し冷たくたしなめました。
もう、クールすぎてやばかったですね……。政府高官の娼婦なわけですから、それ相応の品を演出できなければ怪しまれてしまい、スパイとして任務を遂行できません。職業に対する矜持をしっかりと演じきったこの演技は、とても印象に残りました。
表と裏が目まぐるしく変わるストーリー展開
アクションはもちろんですが、今作はストーリー展開も面白かったです。2重スパイという題材なのでヒロインの立ち位置がその都度入れ替わるわけですが、表と裏が目まぐるしくひっくり返るので、驚きの連続でした。伏線の張り方や含みの持たせ方も違和感がなく、すんなり驚くことができて楽しかったです。
余談ですが、『ANNA/アナ』はリュック・ベッソン自身が監督・脚本・製作を担当されたのだとか。他の作品でも監督と脚本の両方を手掛けていることは多いですが、製作まで担当しているのは珍しいかもしれません。
序盤はあれだけど中盤から後半は面白い
正直、序盤はあんまり面白く感じられませんでした。アナの不幸な場面を描いているので空気が重いし、動機付けや伏線のためにあるようなシーンが多いので、それだけを観ても意味がよく分からない感じです。時系列もけっこう複雑なので、序盤では頭の中にはてなマークが浮かんだ人も多いんじゃないかなと思いました。
でも、中盤から後半は文句なしで面白いです。序盤の動機付けが効いているおかげで感情移入をしやすいですし、複雑だった時系列も、バラバラだった糸が寄り集まって1本にまとめられていくような感じで、きれいに整地されていきます。そして最後は、誰もが納得するような落とし方で物語は結末を迎えるので、締め方も最高でした。ネタバレになるので言えないのが悔しいですが、ラストは本当に納得!という感じです。
『ANNA/アナ』はリュック・ベッソンが好きなら間違いない
諜報機関で暗殺やスパイなどの仕事をこなすという題材上、サスペンスアクションというジャンルであることは間違いありませんが、『ANNA/アナ』の本質は、自由を勝ち取るために修羅の階段を駆け上がっていくアナの「サクセスストーリー」にあると思います。
そしてこれはレオンやニキータ、ルーシーなどの作品にも共通している点です。これこそがリュック・ベッソンの真骨頂であり、ファンが期待しているところなのだと思います。
映画評論家からは、「既視感があり、期待を超えてこない」と評されている『ANNA/アナ』ですが、個人的には、「期待を超えてこられるのも嬉しいけど、しっかり応えてくれるのもそれはそれで嬉しい」と思っているので、今作は大満足でした。
まだ劇場では上映しているようなので、気になる方はぜひ映画館に足を運んでみてください。
久しぶりにレオンでも観ようかなぁ。